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・「温対法」の2021年3月に改正された3つのポイントとは何か
・「温対法」と「省エネ法」の違いとは何か
上記のようなお悩みにお答えします。
本記事をご一読いただくと、以下のポイントが理解できる内容となっております。
一歩先行く「脱炭素経営」のポイントが理解できる内容となっております。是非ご一読ください。
まずは温対法改正のポイントを見る前に、温対法がどのような法律か見ていきましょう。
温対法の正式名称は地球温暖化対策の推進に関する法律といい、国、地方公共団体、事業者、国民が地球温暖化の対策に取り組むための枠組みを定めた、日本初の法制度です。
1997年に開催された「気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)」での京都議定書の採択をきっかけに、1998年に制定されました。
先程も述べましたが、温対法では、国・地方公共団体・事業者及び国民のそれぞれにおいて責務が明確化されています。
また、全ての事業所のエネルギー使用量合計が1,500kl/年以上となる事業者のことを、特定事業所排出者・特定輸送排出者と呼び、義務事項を定めています。
対象となるのは、オゾン層の破壊能が低い代替フロンを含めた、太陽からの熱を地球に封じ込める特徴を持つ温室効果ガス全般。
参考:全国地球温暖化防止活動推進センター「温室効果ガスの特徴」
特定事業所排出者は毎年度7月末日までに、特定輸送排出者は毎年度6月末日までに報告をしなければなりません。算定対象期間は、HFC、PFC、SF₆、NF₃の代替フロン等ガス以外の温室効果ガスは年度ごと、代替フロン等ガスは暦年ごととなっています。
温対法とは別に、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)が存在し、どちらの法律も温室効果ガス排出量の報告義務があるため非常に似ています。
温対法と省エネ法には大きな違いが主に2つあります。
温対法の対象範囲は温室効果ガス全般。その種類は「エネルギー起源CO2」と「エネルギー起源のCO2以外の温室効果ガス」の2つに分けられています。
一方、省エネ法の対象範囲は燃料・熱・電気で、再生可能エネルギーなどは含まれていません。対象分野は工場など、輸送、住宅・建築物、機械器具、電気事業者に分類されています。
温対法と省エネ法の最も大きな違いは罰則です。
温対法では排出量の報告をしない、または虚偽の報告をした場合には20万円以下の過料という罰則が存在します。
一方、省エネ法における罰則を見てみましょう。以下の通りとなっています。
このように、温対法の罰則はひとつで20万円以下の過料であるのに対し、省エネ法の罰則は複数あり最大で100万円以下の罰金と温対法よりも額が大きくなります。
あなたは、先程ご紹介した省エネ法との対比を見て、「温対法の罰則は比較的緩いから、規制対象外なら本格的に省エネに取り組まなくても良さそうだな」「改正のポイントも関係ないだろう」と思いませんでしたか?
今のうちに以下の3つの改正のポイントを押さえて、「脱炭素経営」へ舵を切っていきましょう。
温対法改正の1つ目の大きなポイントは、「パリ協定」「カーボンニュートラル宣言」を基本理念として位置づけたことです。
この地球温暖化対策に関する長期的な方向性が法律上に明記されたことで、国の政策の継続性・予見性が高まりました。
これにより、国民・自治体・事業所などはより確信を持って温暖化対策に取り組めることとなります。
温対法改正の2つ目の大きなポイントは、地方創生につながる再エネ導入促進のため、地域の再エネ活用事業の計画・認定制度が創設されたことです。
温対法が目標とするミッションの達成のためには、再生可能エネルギーの利用が必須ですが、再生可能エネルギー事業に関しては、地域によってトラブルが発生することもあり、地域における合意形成が課題となっています。
その課題解決のため、再エネ活用事業の計画・認定制度が創設され、円滑な合意形成による再生可能エネルギーの利用促進が図られています。
温対法改正の3つ目の大きなポイントは、企業の排出量情報のオープンデータ化です。
温対法では、一定以上の温室効果ガスを排出する事業者に対し、排出量を報告させ、国がとりまとめて公表する制度があります。
今回の改正により、排出量報告をデジタル化し、関係者全員の利便化が図られているようです。
今のうちから、省エネに取り組んでいる企業は減税or免除、排出権取引・クレジット等でメリットを受け取ることができるでしょう。
次は、脱炭素経営の土台固めとして、「温対法」のエッセンスを抽出した、エネルギーマネジメントシステム(EMS)構築の手順をご紹介します。
規制対象外のうちから正しいEMS構築を実践し、ESG融資の進展が期待できる企業経営を目指していきましょう。
「温対法」に基づいたEMS構築の手順は以下の通りです。
まず、EMS構築の担当者がいなければ、担当責任者の決定が必要でしょう。
また、「ガマンしない省エネ」の実現のため、「現在どれだけエネルギーを使用しているか」「どれだけのエネルギーがあればガマンしなくてよいのか」の把握をしておきましょう。
具体的には、電気・ガス・水道・ガソリン・その他の燃料の料金請求書を収集することです。
温対法では、温室効果ガスの排出量に対する報告義務や排出量抑制が課されます。
これにならって、自社での温室効果ガスの排出量を定量的に把握しておきましょう。
具体的には、①で収集した料金請求書から使用量を把握し、Excel等のシートにインプットしておくことが挙げられます。
より詳しい算定方法は以下の環境省のサイトを参考にするとよいでしょう。
環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 マニュアル・様式」
定期的に温室効果ガス排出量を算定していたとしても、基準がなければ「何を」「どれだけ」「どのように」削減したらいいかわかりませんよね。
具体的には、経産省などが公示している排出係数などを、②で用いたシートにインプットしておくことが挙げられます。
より詳しい排出係数については以下の環境省のサイトを参考にするとよいでしょう。
環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 算定方法・排出係数一覧」
手順③で事業が継続できるエネルギー量を反映させた指数を設定したら、EMG構築の担当者だけでなく、部門や担当を横断して話し合いを実施し、温室効果ガスの削減率の目標値を定めましょう。
具体的には、②と③でインプットした自社のエネルギー消費量と排出係数を照らし合わせ、分析を行いましょう。
そして、会社全体で温室効果ガス削減に取り組むことができるPDCAサイクルを設定すれば、EMS構築を終えたこととなります。
「温対法」のエッセンスに基づき、EMS構築をした場合、多くのメリットを受け取ることが可能です。
まず、企業内で得られるメリットの一覧は以下の通りです。
会社全体でEMS構築を行い、省エネの仕組みづくりを行う1番のメリットは「経費削減」にあるといえます。
また、社外に対するメリットの一覧は以下の通りです。
EMS構築を通して、エネルギー消費量や温室効果ガス排出量を公表していれば、温対法改正ポイントである、オープンデータ化のメリットを十分に活かし、世間にPRできていることとなりますね。
今回は、温対法と省エネ法の違い、温対法改正のポイント、温対法に基づくEMS構築について解説してきました。
まとめ
必要なエネルギーは必要なだけ使うが、ムダは徹底的に省く「ガマンしない省エネ」には専門知識が必要といえます。
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